実はGW前後に多い熱中症
- nakagoshi7
- 2022年4月14日
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桜のシーズンも終わり夏日になる日も出てきました。
あくまで本院の印象ですが、一年中で、熱中症で運ばれてくる動物が多いのは、7月や8月ではなく、ゴールデンウィーク前後だと感じています。
朝はまだ涼しいため、大丈夫だろうとエアコンをかけずに出勤してしまい、日中の思いがけない暑さのため、帰宅したら犬がぐったりしていたというケースがほとんどでした。
皆さん真夏はエアコンをかけて十分に注意されているのですが、ゴールデンウィーク前後は油断してしまったということでしょうか。
熱中症は、高温多湿の条件下での高体温と脱水によって起こる全身性の疾患です。
特に熱を放散する機能が悪い、短頭腫、肥満、呼吸器疾患(気管虚脱、喉頭麻痺など)や心疾患などの病的状態にある子は要注意です。
日中の散歩も大変危険です。
臨床症状としては、粘膜の充血、頻脈、パンティング(ハァハァと荒い呼吸)さらには虚脱、運動失調、嘔吐、下痢、振戦、意識消失、発作などが認められます。
熱中症の一番怖いところは、高体温により、細胞を構成するたんぱく質が変性し多臓器不全に陥るということです。
腎不全、肝不全、出血性の腸炎など激烈な症状を示した症例を多く診てきました。
熱中症が疑われる場合、まず動物病院に連絡してください(診療時間外の対応につきましては、各動物病院に事前に確認しておいてください)。
次に体表を冷却してください。方法としては、
1.動物にスプレーを用いて常温の水を噴霧する。扇風機で送風する。
2.もしくは、常温の水で体表をぬらすか、水でぬらしたタオルで全身を覆ったあと扇風機
で送風する。
1と2を繰り返す。
3.凍った保冷剤をタオルで包み、太い血管の走っている、わきの下や鼠径部(股の付け
根)を冷却する。
注意事項:噴霧する水やタオルにぬらす水は必ず常温の水にしてください。保冷剤も必ずタ
オルで巻いたものを使用し直接当てないでください。
体表を直接冷水や保冷剤で冷却してしまうと、毛細血管が収縮してしまい、血液
が内部臓器に循環してしまうので、冷却ができず逆効果になってしまいます。
以上のような応急処置を行いながら、事前に連絡した動物病院に向かってください。
ゴールデンウィークは休診の動物病院が多いため、十分熱中症には気を付けてください。
