院長の思うこと

メス犬の避妊手術は必要か?

メス犬の避妊手術はした方が良いかよく聞かれることがあります。

答えは、私は絶対した方が良いと答えています。


子犬でワクチンに来られた時などは、100パーセント避妊手術をお勧めしています。

犬の避妊手術は意外と難しいことがあるので、あまりやりたい手術ではありません。若い頃は緊張してご飯が食べられないこともありました。また、商売根性を出してお勧めするわけでもありません。


ではなぜか。


避妊手術のメリットが非常に高いからです。

・子宮蓄膿症の予防

・乳腺腫瘍発生率の低下

が期待されます。


妊娠をせずに、そのままにしておくと、5歳を過ぎたごろから子宮に膿がたまる子宮蓄膿症を発症する可能性が高まります。

報告により発生率は0.6%から数10%まで様々ですが、私の病院では、印象的に30%から

40%の子が罹患する印象があります。

罹患した場合は、摘出手術をしなければ死亡率が高い大変危険な病気です。

メス犬は、年に2回の発情があります。その後約2か月間は偽妊娠という状態になります。1年のうち4か月は偽妊娠状態にあるわけです。

これは犬の特徴ですが、妊娠をしていなくても妊娠を維持するプロジェステロンというホルモンが卵巣から分泌されつづけてしまうからです。

偽妊娠時には、子宮内膜の嚢胞状増殖がおこり細菌感染が起こりやすい状態になります。

この状態が年に4か月もあるわけですから、いずれ子宮内膜炎から子宮蓄膿症に至ります。そして腎不全や細菌性ショックで死亡することが多くなります。

しかし、避妊手術をしておけば、子宮と卵巣を摘出しますので、子宮蓄膿症になることはありません。


また、もう一つ。乳腺腫瘍の発生率を下げることができるのは大切なことです。

犬の乳腺腫瘍は、悪性と良性の比率は50%ずつと言われております。

中には手か付けられない炎症性乳癌に遭遇すこともよくあります。

悪性の乳腺腫は、肺やリンパ節に転移することが多く命を失う原因になります。


乳腺腫瘍の発生率は、避妊していない子は、避妊してある子より7倍高いことが分かっています。

これは、明らかに乳腺腫瘍がホルモン依存性であることを示唆しています。

ですから避妊手術が大切になってきます。

ただ、手術の時期はいつでもよいわけではなく、1回目の発情が来る前に行うことを強く進めています。

小型犬や大型犬などは、生後6か月ぐらい。柴犬などの日本犬では生後5か月ぐらい(一般的に発情が早い時期に来ます)に行うことが良いと考えています。

それは、以下に示す避妊手術の時期と乳腺腫瘍の発生率の関係が分かっているからです。


避妊手術の時期 乳腺腫瘍の発生率

・初回発情前(上記の通り) 0.05%

・初回から2回目の発情の間 8.00%

・2回目発情以降 26.00%


以上のように、初回発情前に避妊手術をするメリットが大変大きいことが分かります。


本院では、避妊手術は日帰りで行っており、吸収性の縫合糸を使用することから抜糸の必要性もありません。

子宮蓄膿症や乳腺腫瘍の手術は、傷が大きくなり入院も必要です。動物の苦痛も大きくなりますし費用もかかります。


ぜひ、メス犬を飼われた方は、避妊手術のメリットを知っていただきたいと願います。


たんぽぽ動物病院 犬 手術